国税庁が令和4年10月に公表した所得税基本通達の改正によって、副業収入に係る「事業所得」と「雑所得」の区分について、ご紹介したいと思います。
そもそも「事業所得」と「雑所得」によって、何が違うのかという事ですが、前者の場合には「損益通算」が可能であり、後者の場合には「損益通算」が不可能という事が大きな違いになります。
「損益通算」とは、一言で言いますと赤字と黒字を相殺することを指します。
損益通算できる所得とは、以下の所得に限定されております。
①不動産所得
②事業所得
③山林所得
④譲渡所得
上記より損益通算できる所得として、事業所得は該当しますが、雑所得は損益通算をすることは出来ません。
よって、個人の収入が事業所得になるのか、雑所得になるのかによって、確定申告を行う上で取り扱いが大きく変わります。
例えば、サラリーマンが副業を行い、その収支にマイナスが生じた場合、この副業による収入が事業所得に該当するのであれば、給与所得と損益通算することが出来ます。
一方、この副業による収入が雑所得に該当するのであれば、給与所得との損益通算をすることが出来ません。
このように、雑所得についても損益通算を認めてしまうと、給与に係る源泉所得税が確定申告を行うことによって還付される可能性があります。
このような還付を防ぐためにも、国税庁は事業所得と雑所得の区分について通達の改正を行いました。
国税庁の改正内容は、事業所得に該当する基準として、取引を記録した帳簿書類の保存により営利性や継続性が認められれば、事業所得に区分されることになります。
しかし、帳簿書類の保存があっても、下記ケースに該当する場合には事業所得となるのか、雑所得となるのかは、個別に判断することとなります。
①その所得の収入金額が僅少と認められる場合
②その所得を得る活動に営利性が認められない場合
上記①の場合、収入金額が概ね3年程度の期間300万円以下で、主たる収入に対する割合が10%未満であれば、「収入金額が僅少と認められる場合」に該当し、雑所得として扱われます。
上記②の場合、他にも収入があり、この仕事以外で生計を立てることが出来ており、継続性や反復性は無いと判断されれば、「営利性が認められない場合」に該当し、雑所得として扱われます。
近年、働き方改革などによって、社会全体として自由な働き方になってきており、副業をしている人は非常に増加してきております。
また、このような背景からフリーランスや法人成りをして起業する事業者も増えてきていることから、これから起業しようと考えている方は、是非弊社へご相談して頂ければ幸いです。