インボイス制度導入後におけるタクシー代の仕入税額控除(経過措置について)

インボイス制度が導入される令和5年10月以降、従業員がインボイス制度へ登録していない個人タクシーを利用した場合の取り扱いについて解説いたします。

従業員が適格請求書(以下「インボイス」)を発行することが出来ない個人タクシーを利用し、領収書を会社との間で精算した場合、原則として仕入税額の全額を控除することが出来ません。

しかし、インボイス制度の導入後、最初の6年間は経過措置を適用して、仕入税額相当額の一定割合を控除することが可能になります。

インボイス制度では、免税事業者や適格請求書発行事業者へ登録していない課税事業者からの仕入れはインボイスが交付されず、買手は経過措置を適用することで制度開始から最初の3年間(令和5年10月~令和8年9月)は仕入税額相当額の80%、その後の3年間(令和8年10月~令和11年9月)は仕入税額相当額の50%を控除することができます。

例えば、従業員が適格請求書発行事業者へ登録していない個人タクシー(免税事業者等)を利用し、代金を現金で支払って領収書を受け取った場合、従業員が会社との間で精算する実費相当額は、その領収書と帳簿の保存により、インボイス制度における経過措置を適用して最初の3年間は80%、その後の3年間は50%の控除が可能となります。

一方で、出張旅費特例を適用すれば、タクシー代に係る消費税額の全額を仕入税額控除の対象とすることが可能です。

この出張旅費特例とは、請求書等の交付を受けることが困難などの理由から、一定事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる取引について適用を受けることが可能になります。この出張旅費特例では、従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)が対象となります。

旅費規程等に基づく範囲の額であれば、会社は帳簿に「出張旅費等特例」などと記載して保存すれば、仕入税額相当額の全額を控除することができます。

一定規模以下の中小事業者については、インボイス開始後の6年間、税込1万円未満の課税仕入れについては、一定事項が記載された帳簿のみで仕入税額控除も認められます(少額特例)。

ここで注意すべき点として、従業員が法人クレジットカードでタクシー代を支払った場合は、会社と従業員の間で金銭の授受が行われず、会社の銀行口座から費用が引き落とされるため、出張旅費等特例の対象とはなりません。

法人クレジットカードを利用する場合には、上記内容を理解しておく必要があります。

 

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