■全体像
インボイス制度が開始された後、短期前払費用の消費税の取り扱いについてご紹介します。
法人税において短期前払費用の取扱いを適用している場合(※)は、消費税についてもその支出した課税期間において仕入税額控除を適用することができます。
インボイス制度開始後においても現行制度と同様に、その支出した課税期間において課税仕入れを行ったものとして取り扱われます。ただし、仕入税額控除の適用を受けるには、原則として、適格請求書の保存が必要となります。
(※)(法基通2-2-14)
法人が、前払費用の額で、その支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、上記の「前払費用」にかかわらず、その支払時点で損金の額に算入することが認められます。
ただし、借入金を預金、有価証券などに運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、たとえ1年以内の短期前払費用であっても、支払時点で損金の額に算入することは認められませんのでご注意ください。
また、適格請求書発行事業者からの課税仕入れである場合に、前払費用を支出した課税期間において適格請求書の交付を受けられなかったときはどのようになるのでしょうか。
この場合は、事後に交付される適格請求書を保存することを条件に、仕入税額控除の適用を受けることとして問題ありません。
■仕入税額控除の適用を受けた金額が契約変更などによって変更となった場合
短期前払費用として仕入税額控除の適用を受けた取引について、その後契約の変更等が発生し、金額が変更となった場合についてご説明します。
その場合は、変更後に確定した対価の額に基づく課税仕入れに係る消費税額と契約変更等前の課税仕入れに係る消費税額との差額を、その変更が確定した日の属する課税期間における課税仕入れに係る消費税額に加算又は減算して、調整することとなります。
仕入税額の計算方法として、割戻し計算による場合は以下のような処理となります。
変更後に確定した対価の額と契約変更等前との差額を、その確定した日の属する課税期間における課税仕入れに係る支払対価の額に加算、又は当該課税仕入れに係る支払対価の額から控除することとなります。