政府は東京、大阪など10都道府県を対象に、6月20日までを期限として3回目となる緊急事態宣言の延長を決定しました。
国税庁では5月31日に新型コロナFAQと在宅勤務FAQをそれぞれ更新したことから、今回は企業が従業員の感染予防対策費用を負担した場合の給与課税の取扱いについてご紹介したいと思います。
① テレワークの為に従業員の自宅に設置する間仕切り、カーテン、椅子、机、空気清浄機などの備品の購入費
業務のために通常必要な備品の購入費用については、従業員に対する給与として課税されません。
ただし、給与として課税されないためには備品の所有権が会社にあることが前提となるため、備品の所有権が従業員にある場合には給与として課税されます。 また、業務外で使用するものや、購入を行うための資金を渡し切りで支給する一定の金銭も給与課税の対象となります。
② マスクや消毒液等の消耗品の購入費
勤務時に使用するマスクや消毒液等の消耗品の購入費について、従業員に対して支給する一定の金銭は、従業員に対する給与として課税されません。また、企業がマスク等を直接従業員へ配付する場合も同様となります。
ただし、勤務時間外に使用するものや、従業員の家族など従業員以外の者を対象に支給するものは給与として課税されます。
③ 感染が疑われる場合のホテル等の利用料等
ホテルなど職場以外の場所で勤務することを企業が認めている場合のその勤務に係る通常必要な宿泊代や交通費など、業務に必要な費用については、従業員に対する給与として課税されません。また、企業がホテル等に利用料等を直接支払う場合も同様となります。
ただし、従業員が自己の判断によりホテル等に宿泊した場合など、業務のために通常必要でない費用は給与として課税されます。
④ PCR検査費用や室内消毒の委託費用
企業の業務命令により受けたPCR検査費用やテレワークに関連して業務スペースを消毒する必要がある場合の費用など、業務のために通常必要な費用については、従業員に対する給与として課税されません。また、企業が検査機関や委託先等に費用を直接支払う場合も同様となります。
ただし、従業員の自己の判断により受けたPCR検査費用や消毒の費用など、業務のために通常必要でない費用や、渡し切りで支給する一定の金銭は、従業員に対する給与として課税対象となります。
以上より、企業が従業員の感染対策費用を負担する場合、給与として課税されるか否かのポイントは、「業務に通常必要なものであるかどうか」によって課税関係が異なってくるので、「業務に通常必要なもの=会社として感染対策費を負担する範囲」等を明確化し、従業員へ周知することが重要となってきます。